数字で見るこの界隈:付記その1:書籍の原価率


縦軸が定価を100とした原価率を示し、返本率を0%、20%、40%としたときの出版社の売上と、製造原価を示した積み上げグラフです。
あくまでも、モデルというところに注意してください。
数字は、下記より引用しています。
http://72.14.235.104/search?q=cache:zhfsTyUZcdcJ:bookd.kuronowish.com
 まず、店頭での売上ですが、30%は書店(と取次ぎ)の取り分になるので、基礎になるのは定価×印刷部数の70%になります。しかし、これは返本0%の場合です。返本が20%なら、出版社の手元に入る金額は56%になり、返本が40%であれば、42%にしかなりません。
 一方、経費は、印刷、造本20%、著者への印税、装幀、校正費など編集費を12%、広告費を10%、返品のための倉庫代を3%、人件費を10%として合算すると、支出の合計は55パーセントになります。
返本が20%なら、出版社の利益は定価×発行部数の1%で、返本が40%なら、出版社の利益は定価×発行部数の-13%、13%の損失です。返本無しなら、15%が利益になり、重版になれば、あと15%が利益になります。10万部であれば、一冊500円として、総額5千万円、15%で750万円の利益です。この計算だと、印税は500万円になりますね。


 定価×印刷部数がそのまま出版社に入るわけではない、という点だけ知っていただければ結構かと思います。あと、ここでは触れていませんが、経費の発生時点と、売り掛けの回収時点に期間があり、その間の金利負担が発生する場合もあります。


参考:
http://www.mynewsjapan.com/kobetsu.jsp?sn=444&e=2
http://homepage2.nifty.com/osiete/s653.htm

印刷費用

http://homepage2.nifty.com/bookazusa/azusa06.htm
人印刷の値段表を見たことがある人なら良く理解されていると思います。
印刷は、この例では
組版経費、②出力経費、③印刷費、④用紙代、⑤製本費用
に分類され、このなかで
組版経費、②出力経費
は固定経費です。だから、100部が200部になっても全体の費用が二倍に増えるわけではありません。なので、刷れば刷るほどコストは低下します。売上に対する、印刷費用の占める割合が低下するわけです。


コメント

 上記のグラフは、普通の書籍の場合で、ライトノベルなど挿絵の比重が大きかったり、ノベライズのように版権使用料が発生する場合は想定していません。海外の翻訳の場合、原著作者への支払いと、翻訳者への支払いが発生します。
 また、この記事は、おそらく、単行本を数万〜十数万部売る場合を想定しています。重版がかかれば、出版社にしてみれば手間を掛けず、印刷代だけで利益が上がることになるので、ベストセラーの場合、出版社の経費はさらに低いものになっているかもしれません。海外の作家の場合、印税は部数に応じて割合を変える契約になっていたりするそうです。


コメント2

 なお、ネットによる電子出版についての印税率は、「ネット通販」1〜10%、「電子書籍」1〜10%、「ダイナミック電子出版」10〜40%、「Boon-gate.com(文芸社による電子出版サイト)」50%になっています。--http://homepage2.nifty.com/osiete/s653.htm

6: mizunotori

2chソースなんで話半分に。

http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1139586552/522-553

ラノベ絵師の報酬の話。

一般に比べると安いらしい。

http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1139586552/616-640

ラノベデザイナーの報酬の話。