ラノベ『バカとテストと召喚獣』

バカとテストと召喚獣 (ファミ通文庫)

バカとテストと召喚獣 (ファミ通文庫)

「こんな教室は嫌じゃああっ!!」 アホの明久は叫んだ。ここ文月学園では、進級テストの成績で厳しくクラス分けされる。秀才が集まるAクラスはリクライニングシートに冷暖房完備だが、彼のいる最低Fクラスの備品はボロい卓袱台と腐った畳だけ。
 明久は密かに憧れる健気な少女・瑞希の為、クラス代表の雄二をたきつけて戦争を始める。それは、学園が開発した試験召喚獣を使い上位組の教室を奪うという危険な賭けだった!?

http://www.enterbrain.co.jp/jp/p_catalog/book/2007/978-4-7577-3329-9.html

第8回えんため大賞編集部特別賞受賞作。テストで召喚バトルする、軽いノリの学園コメディ。イラストの葉賀ユイが良い。

「アキカン」が力のバカなら、「バカテス」は技のバカ、といったところか。小学生的(しかし本当の小学生には書けない)ボケを散りばめており、そのバカ丁寧なバカさは、もはや郷愁を誘う。「バカ・アホ」は親愛の情を示す言葉として使われるように、ベタなギャグは時にノスタルジックな感情を呼び起こす。中二病セカイ系に発展するようなメタのベクトルとは逆方向なのである。

バカは良い。しかし、「セックスと嘘とビデオテープ」のように三題噺だが、残りの要素であるテストと召喚獣の食い合わせはあまり良くない。作者は報告書の日本語がサッパリだと言われているらしいが、説明が下手でバトルシーンは何をやっているのかイマイチ分かりにくい。オチはベタだが、らしい結末。「アキカン」もそうだが、イラストで得をしている。後書きの霧島翔子の絵が一番可愛い。