第六回萌理賞小説部門・選考結果発表

question:1164202999(開催場所)

発表

萌理賞(200pt&いるか)

「その手の温もり」

萌賞(20pt)

「冬のあやかし」

理賞(20pt)

「Fallin'」

佳作(10pt)

「つめたいみち」
「流れ星を掬う」
「当世浮世風呂

次点(5pt)

「春には早すぎる」
「ハネムー旅行記念ビデオ制作」
「Who's Who of the Gods」
「Silent Thirty Seconds」

特別賞(5pt)

「の・ぞ・き」
「はいちゃく!」

参加賞(1pt)

残りの参加者10名

選評

参加賞
  • 「人肌恋しい季節だから」
    • 炊飯器ですか? 最後に落とす台詞をもう一ひねり。
  • 「炬燵」
    • 「こたつむり」が強烈だったので目立たないですね。
  • 「お流しします」
    • K女史が怒っているのであまり色気を感じないですね。
  • 「ひとり歩きをする時は」
    • 一人で景色を見るだけで萌えるのは難しいですね。
  • 「拾バニーガール譚」
    • バイトの話になっちゃうと萌えとは別の何かですね。
  • 「うさぎの観光案内」
    • 「頭イカレタ少女が一人」は萌えより醒めの視点。
  • 「冒険」
    • 「冒険」というか「迷子」なので、題と違う印象が。
  • 「溢れ出る」
    • 温泉を掘っちゃうのは独自ですが、萌えまでもう一歩。
  • 「学校帰り。」
    • いい感じですが、冬じゃなくても別にいい気がしました。
  • 「彼女といれば、心はいつも暖かいまま。」
    • まとまっていますが、行間が狭いというか、会話が作為的に感じます。通信販売で「おいジョニー見ろよこのカイロすげえ暖かいんだぜ」みたいな。登場人物がカイロの話をしようと身構えている印象があるので、例えば冒頭は「上着がもう一枚欲しいくらいだな」「カイロ、貸そうか?」なら自然な流れになります。
特別賞(腐賞)
  • 「の・ぞ・き」
    • 楽しい作品。オチのサプライズもちゃんとあります。「尻穴」は「お尻」位で。
  • 「はいちゃく!」
    • 妖しい作品。性別が分からないという楽しみを残しておくところがポイントか。
次点
  • 「Silent Thirty Seconds」
    • アクションもの。やはり女スパイものの雰囲気がありますが、「スチュワーデス→飛行機→ハイジャック」という連想は強いようです。格闘ならチャイナドレスだと思いますが、今回人気なかったですね。
  • 「Who's Who of the Gods」
    • 「金次第で何でも引き受ける女。」とかなぜかスパイものが流行していますが、溢れる(偽)固有名詞が雰囲気を作ります。「バニーガールに変装する女スパイ」というのは随分昔の流行でしょうが、今回のお題にはよく合っていると思います。
  • 「春には早すぎる」
    • こういうストレートに恋愛を描く作品も欲しいところです。バスガイドという設定から年齢差という視点を導き出したのが上手くいったと思います。しかしですね、ラストの「自分のそれを押し当てた。」の「それ」って唇ですよね!?
  • 「ハネムー旅行記念ビデオ制作」
    • 「ママは傷ついたピーチでした。」を皮切りに、気の効いたセリフがポンポン出てきて飽きさせません。エンターテイメント。たぶん「映画みたい」なのは「記念ビデオ制作」だからでしょう。そういう風にネタでありながらも、全体の必然性を押さえていて納得できます。
佳作
  • 「当世浮世風呂
    • オチのどんでん返しからすると、「浮世」ではなく「あの世」なのでは。想像するイメージが強烈ですね。萌えかというと微妙なので入賞はしませんが、お題から連想されるイメージをそのまま描かずに、ひねろうとする工夫は常に必要です。
  • 「流れ星を掬う」
    • 小話系の中では会話が洒落ているので選びました。ちょっとキザすぎるかなということで入賞はしませんが、ミもフタもない現実をそのまま描くよりは、それ位に演出しようとする方が、萌えへの道だろうと思います。
  • 「つめたいみち」
    • 寓話調です。最後は希望を感じさせる終わり方ではあるものの、もしかして『マッチ売りの少女』的にあっちの世界に行って幸せになるというオチではないかとも読めます。それはあくまでも読者側の深読みなので入賞はしませんが、表現の硬軟とは別に、読み方が複数あると作品に深みが出ます。
理賞

「Fallin'」
「黒ツンデレ」ということですが、今までの作品にない感情を描いています。「墜ちた」というのは文字通り墜落したのでしょうか。そうだとすると救いがないですが、しかし痛切な何かがあります。理解できるようでやはり分からない感情ということで、入賞まであと一歩ですが、あまり氾濫していない感情を持ち出してくるところが非常に興味深いです。

萌賞

「冬のあやかし」
「妹は妖怪こたつむり」。これは萌えますね。今回一番萌えの作品です。「こたつむり」自体はググると出てくるので新発明ではないですが、「モギモギ顔」とか他との連携もいい感じです。「あ、下着わすれるなよー。でも見たら殺す」「おフロ早くはいっちゃいなさいよォーーー」とかも現実に言いそうなセリフですね。ほんとに親近感が湧くので四コママンガ化とかFLASHアニメ化とかしたい感じです。入賞は萌+理の二要素が必要なのであと一歩ですが、どこにでもありそうで意外とないキャラ立ちは貴重です。

萌理賞

「その手の温もり」


今回も上手いです。二回以上入賞する前例が出来てもいいでしょう。しかし現時点での入賞率100%は過去最高ですね。作品本編、冷たい空気と暖かいお湯の境界を描こうとしている視点がとても鋭い。それは単に描写に凝ってみたということではなくて、情況の厳しさ(あの事故の日から〜)と情緒の絆(二人三脚の決意)の対比に沿っています。登場人物に下心のない展開ですが、そこからかえってある種のエロスを感じます。「もののけ姫」で口移しをするシーンみたいな、品を保ちながらも魅力的な場面のことですね。


また、「髪に雪を積もらせながら」と時間経過などを織り込んでいる描写が良いですね。今までの投稿作を見ていて、時間を描くのに「…」の個数で間を表すとか、寒さを描くのに「寒い!寒い!」とかありますが、それでは単純過ぎます。雪が積もるということで、雪が降っているということ、雪が積もる時間が経過していること、雪が落ちない程度の緩やかな動きであるということ、寒さに耐えているという彼女の内面、それを見守る主人公、というように、400字の中でも豊かな小説的空間が生まれます。この行間の余裕があるため、入賞を与えて惜しくないですね。

総評

今まで締切が早すぎるという声がありましたが、いざ30人に枠を広げてみると、定員が埋まらなかったですね。余裕があるといつでもいいやという気になるという側面もあるでしょうか。まあ段々増えていくことを期待します。作品ですが、夏頃と振り返ってみると、全体の作風が全然違いますね。お題の出し方も影響するでしょうが、これからも毎回違った側面が見えるといいと思います。ただ、一年回ると「夏」とか季節の題材がかぶりますし、「セーラー服」とかコスプレ系もネタが出尽くしちゃうので、どうするかというところですね。ただ今まで作品を全部読んできて、最近は400字が窮屈(もっと字数があれば面白いのに)に感じず、贅肉をどんどん省いて、制約の中で色々工夫してきているのが、面白いです。

予告

さて次回は、12月16〜23日頃の期間を予定しています。年末進行で早めです。課題モチーフは、「冬」「セーラー服(冬服)」「ブルマ(ジャージ)」「軍服」「婦警(刑事・捜査官・警備員)」「クリスマス」を用意しています。メルマガの方は30人集まらなかったので、どうするかまだ迷っています。さて、参加者の方も読者の方々もお疲れ様でした。また次回をお楽しみに。

お知らせ

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