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「おい、チバ〜!」
「なんやねん」
「チバがキレたよ。女の子にきれるなんてさいあく」
「キレてないし。なんでしょう、アイリさん?」
「チバって関西のひと?」
「なんで?」
「なんでやねんって言った」
「言ったっけ?」
「言ったよ。さっき言った。
あたしも大阪に住んでたことあるよ」
「――そうなんだ?」
「うん、そうみたい。
小さかったからよく覚えてないけど。
チバも関西のひと?」
「チバは関西の人じゃないです」
「どこの人?」
「横浜」
「横浜なんだ。どのへん?」
「根岸線の、ってなんでこんなん聞くの?」
「なんでも」
「まあ、横浜だよ。わかりましたか?」
「それじゃわかんないじゃん。
もっとくわしく」
「アイリはどこの人?」
「ないしょ」
「あ、言えないとこなんだ?
アイリ不良だから」
「アイリはいい子ですよ?
不良はチバでしょ? 東横線だよ」
「東横か〜。あんまわかんないかも。
多摩川とか? もっと渋谷より?」
「超くわしいじゃん!
もうないしょ。チバ、アホじゃないの?」
「チバ、アホじゃなかったの?
すごい! 新発見じゃん」
「チバはアホでいてください」
「いいけど」
「チバ、めがねとかかけてる?」
「かけてないよ? 目だけはいいんだよ。
アイリかけてるの?」
「いつもはかけないよ?
見えないときだけ」
「めがねだるそう」
「頭いたくなるよ。暑いし。」
「暑いね! 暑すぎるね!
こんなで仕事なんかできるか! どアホ!」
「またきれちゃった。夏は暑いんだよ?」
チバ、知らなかったですか?」