「第二回萌理賞」の例文を書いてみました。あえて「夏」「姉」「妹」「幼馴染」のモチーフをすべて満たしていますが、参加者の方はそこまでする必要はないと思います。みなさんがんばってくださいね。

「ゆかいなカレーはお姫さま」(399字)

今夜はカレーだ、と姉貴が決めた。
「夏こそ煮えたぎるようなカレー。心頭滅却、無我の境地」
説教は聞き流し、俺は妹といっしょに商店街に行く。


ルーはあるから具を買うのだ。
「カレー、カレー、ゆかいなカレーは王子さま」
謎ソングを唄う妹から離れつつスーパーに着く。
カートに野菜をダンクする俺たち。料理はスポーツだ!
「なにやってんの、あんたら」
じゃがいもが飛んだところで声をかけられた。
隣の家の七美だった。


「カレーもいいかな」
「真似かよ」
「自由でしょ、そんなの」
七美はカレーのコーナーに向かう。
「ゆかいなカレーは王子さま」
「ん? なんでその歌知ってんだ?」
妹も声をそろえて唄った。
「だって七美が教えてくれたんだもん」


家に帰って、しばらく経つと、姉貴が台所で唄いはじめた。
「ゆかいなカレーは王子さま」
「ちょっと待て。その歌は姉貴が作ったのか?」


すると姉貴は、きょとんとして答えた。
「お前が唄っていたんだよ、子供のころ」