sorasemi

短編小説

見晴らしの良い喫茶店だった。すぐそこの信号待ちをする、車の助手席の中まで見える。白いワンピース、ダイヤのネックレス――。 「きゃっ」はっとして立ち上がると、ちょうどコーヒーが運ばれてきた所だった。 「あ、ごめん」暴れる液体に、ウェイトレスがの…

短編小説「ヤクザ」

教科書的と言っても良い晴天の公園。ぽつんと立っている屋台を眺めていたら、おやじがたこ焼きをくれた。あやかはぐらぐらするつまようじを両手で支え、それをゆっくりと味わう。 ハフハフ。……辛い。頭がくらくらする。刺激的である事を訴えると、メガネの奥…