第十一回萌理賞・選考結果発表
開催場所
- 開催
- 展示
- 「萌理学園」設定
結果発表 - 小説部門
萌理賞(200pt)
- 「着せ替え幽霊の不思議」
- 極端な設定の作品が多い中で、正統派の物語を展開しつつ、キャラへの萌えも設定の理屈付けもあって、バランスが良い作品です。それだけではなく、バランスが良いと物語の他の要素を想像しやすくなります。読者の想像の可能性も作品世界の内なのです。
萌賞(50pt)
- 「三毛と鐘と影」
- 「不思議少女系の嘘を指摘する主人公」というパターン。今回設定に凝った作品が多かったので、キャラが印象に残りました。「出ちてあゆかりゃ」が「とかちつくちて」みたいに強引過ぎる発音で萌えです。あと、タイトルが要素を並べている感じがするんですが、一行目をそのまま題名化するか、コピー風に「記憶と歴史をクリエイトするセンパイ」といった手もありそうです。
理賞(50pt)
特別賞(20pt)
- 「月光」
- よだれで戦う新ジャンル。「よだれ」が潰しが効かなそうな設定です。まあ一発ネタなら仕方ないんですけど、例えば体液なら何でも武器になるという設定なら、冷や汗で凍らせるとかいくらでも展開できます。あと「幼女」が雑魚敵で物語性がなく、従って二人の関係性もないところが、少し惜しいです。
- 「階上の絞殺者」
- 文語調で言葉に凝っています。全体的にラフでぶっちゃけた口語的な文体になりがちな流れにあって、非常に光ります。ただ、全体的に大時代な語りが「言葉遊び」のようにも感じます。凝った形式を採用する場合、なぜそういう形なのか理解できると、読者が移入しやすいでしょう。説明的になる危険はありますが、例えば学園の大昔の話で、七不思議の起源だったとか…。
結果発表 - 原作部門
大賞(100pt)
- 「不思議委員会」
- 自動的に大賞。不思議を裏で操っている何らかの組織を描くパターンが今回多く、そのプロトタイプになっていると思います。
結果発表 - イラスト部門
大賞(200pt)
- 潤井由華(アイコン)
- 自動的に大賞。アイコンは小さいから簡単かというと、キャラを顔だけで表現しないといけません。「喜んで襲う」という特徴が描けています。
参加賞(10pt)
- 残りの参加者全員
総評
はてなの文字創作全般に言えることですが、極端な設定で一発勝負する、思考実験というか言葉遊びというか、シミュレーション的な小説が多いですね。頭の良い人はメタな方向に行きがちですが、例えばケータイ小説とは別の方向性で、ライトノベル(「ファウスト」系とか)っぽさも感じます。ただ、極端さは斬新さでもありますが、「なんでもあり」になっていくと、マンネリの世界を脱する代わりに、ランダムの世界へと向かいます。
そうはいっても、400字のショートショートでインパクトを与えようとすれば、自然と極端になるでしょう。だから、長編部門も欲しいのですが、長文は書き手も読み手も時間的に負担です。そこで連載形式の投稿部門があって、毎回強引にお題に合わせるとか、一回の開催がリレー小説形式で繋がるとか、色々アイディアはあるのですが、作品が集まるか、破綻しないかどうか、分かりません。最終的には自由に創作すればよく、絶対「賞」の形式でないといけないこともないんですが…。
次回予告
「不思議」のお題は「洞窟」より意味が広く、自由に書きやすかったのか、前回より投稿が集まりました。やはりお題の制約は大きく、かつ、「なんでもいいよ」でも集まらないので、工夫のしどころです。また、アイコンを揃えたいのですが、イラストが集まりません。あと設定もだんだんネタが尽きてきたのか集まりません。
その辺りも踏まえて、やはり毎回発表してから考えるのはキツイかなと思いました。イベント感は薄れますが、萌理賞のまとめページを作って、ある程度先のお題を決めておくのはどうでしょうか。さしあたり、四季のお題を復活して、六・七・八月は「夏」「夏休み」だけの縛りで書けるようにする予定です。学園物の夏休みは書きやすいので、一回だけのお題だともったいないと思いました。イラストもアイコンだけではなく夏の絵を募集する予定です。
さて、投稿者の方も読者の方も、ありがとうございました。また来月の萌理賞をお楽しみに。