ラノベ『天使の飼い方・しつけ方2 なまけものですのでお早めにお召し上がりください。』

夏休み目前。天使&悪魔との同居という特異な状況にも即なじんだ超マイペース高校生・神月ひかる。彼の呪いは「人間の少女に告白される事」で解けるらしい、と判明した瞬間、不思議ポエム美少女・千景が現れ、ひかるに告白を……!? 
ほねの髄まで、いちご味ッ♪ ぬくぬくラブコメディ、カオスでポエムな(?)第二弾☆

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スーパーダッシュ文庫。「天使の飼い方」シリーズの二作目。ファンタジーブコメ

ひかる-千景のカップル、セラ-アークの天使組、イデル-カルマの悪魔組の三層*1が、それぞれの思惑で動いているため、人間関係に動きのあるスラップスティックになった。やはり表紙のイデルが、一番の萌えキャラで、出番自体はそんなに多くないが、ダウナーな可愛らしさがある。例えば、マヨネーズを冷蔵庫に三本も入れて、扉の収納スペースを占拠するだとか、マヨネーズを直舐めするだとか。後半になると、イデル自身のある決断が明らかになることで、より一層感情移入が強まる。

軽く明るく派手な文体だが、その分、やや騒々しくもある*2。また、天使組や悪魔組の印象が強いので、千景の存在が霞んで見えてしまう。千景は盲信(妄信)型で、ひかるをコロッと好きになってしまうのだが、その分、逆に主体的・積極的にひかるを選び取った、という感じがない*3。だから、結末の幕の降ろし方にも(それ自体は定型だが)、あまり腑に落ちない。少し千景が噛ませ犬っぽくなっている気がしてモヤモヤした。イラストは萌え絵柄で良い感じ。

*1:その三層を俯瞰する位置にあるのは、意外と「しば」(になっていく)かもしれない

*2:特にアークのルー語だとか

*3:禁止を課せられている分、むしろセラの方が主体性が強く見える